本紙記者レビュー
- ゴールデンスランバー
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首相暗殺犯に仕立てられた無実の男(堺雅人)の逃亡劇を、エンターテインメント性あふれるタッチで描いた。竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之ら出演者も多彩。作品の映像化が相次ぐ人気作家・伊坂幸太郎氏の同名人気小説を、「チーム・バチスタの栄光」(08年)「ジェネラル・ルージュの凱旋」(09年)の中村義洋監督が映画化した。
- 監督: 中村義洋
- 上映時間: 2時間19分
- 公開日: 1月30日
- 評価

レビュー
逃げる。とにかく逃げる。生きるために。なぜ?の疑問に答える人間はいない。30歳の独身宅配ドライバー・青柳(堺雅人)は、突然やってもいない首相暗殺犯に仕立てられ、巨大な権力から追われることになる。
首相が仙台でのパレード中に爆殺された。直後、青柳が大学の友人・森田(吉岡秀隆)と乗っていた車に警察官が駆け寄り、発砲。からくも逃げ出した青柳だが、犯行につながる目撃情報や防犯カメラ映像などが次々と世間に公開され、その逃亡劇は周囲の人々を巻き込んで大きく展開していく。
ビートルズの「GoldenSlumbers」を聴いて学生時代を過ごした元恋人の晴子(竹内結子)や森田、カズ(劇団ひとり)との友情が青柳に勇気を与える。堺の泥臭いながらもさわやかな格好良さと、自然体のしなやかな強さを感じさせる竹内の演技は魅力的。数多い登場人物の中でも、息子を無条件に信じる青柳の父(伊東四朗)も印象に残る。
原作は、人気作家・伊坂幸太郎氏の同名小説で本屋大賞(08年)、山本周五郎賞(08年)を受賞した傑作。伊坂作品を映像化した「アヒルと鴨のコインロッカー」(07年)「フィッシュストーリー」(09年)の完成度の高さで知られる中村義洋監督は、伊坂作品の最大の理解者。今作でも、回想シーンを含めたエピソードの数々が、心地よいくらいにつながっていく。
また、伊坂氏の盟友のシンガー・ソングライター・斉藤和義が音楽を全編にわたって担当。主題歌の「GoldenSlumbers」を演奏・プロデュースし、エンディングテーマに自曲「幸福な朝食退屈な夕食」をセルフリメークしているのも聞き逃せない。
逃亡劇の終わりの受け止め方はさまざまだろうが、登場人物たちの後日談が描かれるラストシーンまでじっくり見たい。評価は「たいへんよくできました」。上から目線?いえいえ、見れば分かります。
レビュアー
- 角田史生
- かくた・しき
- 1974年7月29日、京都府生まれ。関西大卒。1997年大阪本社入社。中央競馬担当を経て、01年3月に文化社会部へ。グラドルから殺人事件まで芸能ネタと同時に社会ネタも追う。05、06年の映画担当時のお気に入りは「運命じゃない人」「嫌われ松子の一生」。サブ担当の今は、橋下徹大阪府知事などジャンルを問わず取材しつつ、時間を見つけて試写室へ。
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