
西村雅彦 伊丹十三監督の死に涙
第22回(1997年12月26日)@東條会館(東京・半蔵門)
師走の映画界に2つの衝撃が走った。12月20日に伊丹十三監督が自ら命を絶ち、同24日には三船敏郎さんが全機能不全のため77歳でこの世を去った。日本映画界を代表する2人。伊丹監督の遺作となった「マルタイの女」で助演男優賞を獲得した西村雅彦は、顔を真っ赤にして「伊丹監督の『マルタイー』が助演男優賞の対象になって本当によかった」とその死を惜しんだ。
伊丹監督の代表作「お葬式」を見て「こんな映画を撮ってみたい」と思ったという三谷幸喜監督も「伊丹監督がいなければ、僕はここに立っていませんでした」。その思いを胸に初メガホン作「ラヂオの時間」でつかんだ作品賞を重く受けとめた。
一方で明るい話題も。15年ぶりに日本映画界の記録が塗りかえられる快挙も生まれた。宮崎駿監督の「もののけ姫」が、「E.T.」(スティーブン・スピルバーグ監督)が持つ興行記録(約134億円)を更新。興収193億円というモンスターヒットになり、特別賞に輝いた。宮崎監督にとっては第13回で監督賞(「となりのトトロ」)を受賞して以来の報知映画賞となった。
主演賞は「失楽園」(森田芳光監督)で共演した役所広司と黒木瞳のコンビが受賞。同名原作は渡辺淳一氏のベストセラーで、大胆な濡れ場でも話題を集めた。役所と再会した表彰式。翌年4月に出産を控えていた黒木は「引き受けて本当によかった。あの覚悟だけでも一生、忘れられません」と言って、大切そうにおなかに手をやった。
その黒木の横で微笑んだ役所は、「Shall we ダンス?」などで受賞した前年に続き、第50回カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)に輝いた「うなぎ」などでこの年も主演男優賞に。2年連続受賞は、奇しくも第8回で助演男優賞、第9回で作品賞の伊丹監督以来だった。
第22回の受賞者・受賞作
- ■作品賞
- 「ラヂオの時間」三谷幸喜監督
- 「ぼくのようなエンターテインメント映画を目指す人間には最高の励みになります」
- ■監督賞
- 原田眞人監督「バウンス ko GALS」
- 「彼(役所広司)が『KAMIKAZE TAXI』で(第50回毎日映画コンクール)主演男優賞の時、ぼくは客席。フランス(のヴァレンシエンヌ冒険映画祭・95年)では、ぼくが監督賞で彼は客席。今回、2人一緒に壇上に上がれるなんてね」
- ■主演男優賞
- 役所広司「うなぎ」「失楽園」「バウンス ko GALS」
- 「今やっていて一番楽しいのが映画。仕事が来る限り、映画のフィールドで頑張りたい。ぼく自身、ツキっていうのはあると思う。映画史に刻まれるような名作に参加できたらいいですね」
- ■主演女優賞
- 黒木瞳「失楽園」
- 「スクリーンの中に入れたらと高校の演劇部のころから思ってました。それから22年。今日、生まれて初めてこんな大きな賞をもらいました。一生忘れません」
- ■助演男優賞
- 西村雅彦「マルタイの女」「ラヂオの時間」
- 「『ラヂオ-』では映画と舞台とでまるっきり違うな、と実感した。役を知っていただけに、映画ではマイナスからスタートしなければならなかった」
- ■助演女優賞
- 倍賞美津子「東京夜曲」「うなぎ」
- 「20年前にいただいたとき、価値の分からない3歳の娘とチャンバラごっこして(賞状が)破けちゃったの。だからすごくうれしい」
- ■新人賞
- 松たか子「東京日和」
- 「私を映画に誘ってくれた竹中(直人)監督に心から感謝したい。出番はあまりなかったんですが、目立つ役所で得をしたのかもしれませんね」
- ■海外作品賞
- 「ザ・エージェント」キャメロン・クロウ監督
- ■特別賞
- 「もののけ姫」宮崎駿監督
