
騒動の渦中に桜田淳子が妊娠を認めてダブルの喜び
第18回(1993年12月27日)@第一ホテル東京(東京・新橋)
初の外国人受賞者の誕生、桜田淳子が当時、騒動となっていた妊娠を認めるなど、話題豊富な表彰式となった。
助演女優賞に輝いた桜田は、第12回でも同賞を受賞しており2度目。今回もほかを寄せ付けない圧勝となったが、受賞作「お引越し」(相米慎二監督)の撮影の真っただ中に統一教会の合同結婚式に参加。マスコミの取材攻勢に遭い、映画キャンペーンもままならず、映画公開後は事実上の休業状態にあった。
表彰式も欠席。代わりに初めて妊娠を認めるメッセージを寄せて受賞の喜びを表した。大いに世間をにぎわせたが、宗教スキャンダルの“代償”は大きく、「お引越」を最後に表舞台に姿を見せることはなくなった。
その桜田のメッセージを舞台上で代読したのが、同作で新人賞に輝いた田畑智子。この作品が正真正銘のデビュー作で、撮影当初は相米監督に「このタコ!」「ガキ」と叱られ家で泣いた日もあった。受賞発表時の12歳11か月は史上最年少での受賞。ブロンズ像を重そうに抱えての笑顔がひときわ初々しかった。
初の外国人受賞者になったのが、「月はどっちに出ている」(崔洋一監督)のフィリピン人のルビー・モレノ。報知映画賞にとどまらず、この年の主要映画賞を軒並み制して、一躍時の人になった。「フィリピンの人たちと、家族と…国と(喜びを)分かち合いたい。本当にありがとう」表彰式には在日フィリピン大使館から総領事も駆けるなど、フィリピンをあげての祝福に涙、また涙・・・。そのモレノと喜びを分かち合った崔監督は、親友だった故・松田優作さんのタキシードで登場し、満面の笑みだった。
「望郷」(斎藤耕一監督)で初の主演男優賞を受賞した田中健は、出演舞台の合間を縫って、舞台衣装のまま表彰式会場に登場。妻で女優の古手川祐子も祝福に駆け付ける予定だったが、この日、東京・東大泉の東映スタジオでのCM撮影とNHK大河ドラマ「炎立つ」の収録が遅れたため、出席はかなわず。スタジオで表彰式の様子を聞いていたという。
第18回の受賞者・受賞作
- ■作品賞
- 「月はどっちに出ている」崔洋一監督
- 「賞を取るような映画とは考えなかった。どこまでも人間臭い、面白い映画を作りたかった」
- ■監督賞
- 崔洋一監督「月はどっちに出ている」
- 「(パート2の要望に)主人公がどうしてタクシー運転手になったのかというエピソードは撮ってみたい」
- ■主演男優賞
- 田中健「望郷」
- 「ぼくを起用してくれた監督の勇気だと思う。キャスティングのミスと言われなくて、本当によかった」
- ■主演女優賞
- ルビー・モレノ「月はどっちに出ている」
- 「お母さんに電話した。マニラにいるときも女優になるなんて思ってもいなかったのに、日本で女優の賞を取ったと聞いてもうびっくり。『最高のクリスマスプレゼント』って大喜びよ」
- ■助演男優賞
- 岸部一徳「僕らはみんな生きている」「水の旅人」「病院で死ぬということ」「教祖誕生」
- 「公開が全部、今年に重なっただけで、僕としてはそんなに(4本も)続いたという気持ちはないんです」
- ■助演女優賞
- 桜田淳子「お引越し」
- (書面にて)「ただ今、お産を控えておりまして会場までうかがえません。御支持下さいました皆さま、このたびは心から心からありがとうございました」
- ■新人賞
- 田畑智子「お引越し」
- 「初めて出た映画でこんな立派な賞をいただいてうれしい」
- ■海外作品賞
- 「許されざる者」クリント・イーストウッド監督
