
「シコふんじゃった。」が史上初の主要3部門独占
第17回(1992年12月25日)@赤坂東急ホテル(東京・赤坂)
“若貴ブーム”に沸くこの時代、映画賞でも「相撲」が主役の座についた。周防正行監督の「シコふんじゃった。」が、17年の歴史で初めて作品賞、主演男優賞(本木雅弘)&女優賞(清水美砂)の主要3部門を制した。助演男優賞でも同作出演の竹中直人が読者票1位。初監督作「無能の人」で新人賞を受賞した前年に続く受賞は逸したが、花束を持って会場に駆け付け、ステージ上を「シコ-」一色に染めた。
前年に雑誌「anan」で衝撃のヌードを披露したモックンだが、周防監督は「思いついたのは2年以上前。ラブシーンで脱いでもらってもつまらないから、と考えたのがマワシ」と「anan」より“アイデア”は先だったことを明かす。学生相撲という意表を突いた舞台とモックンのマワシ姿のインパクトは絶大だった。
受賞インタビューでは「メディアが多様化している時代に、映画が昔の人気を取り戻すことは難しいでしょう。それでも僕はアメリカの娯楽映画と真っ向勝負していきたい。製作費や規模で、同じものを目指しても勝てないから、意外な発想で対抗するつもりです」と語っていた周防監督。その精神は「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」とその後の作品にもしっかり引き継がれている。ちなみに主演男優が必ず話題になるのも周防作品の特徴。「Shall we-」の役所広司、「それでも-」の加瀬亮もモックン同様、主演男優賞を受賞している。
主演女優賞の清水は「22歳の私が主演女優賞をもらえるなんて夢にも思いませんでした」。表彰式当日に発売された写真誌に米国人の父と日本人の母を持つ19歳青年との熱愛が掲載され、報道陣から「恋人ですか?」との質問も飛ぶと、「はい」とちょっと恥ずかしそうに答えた。
清水はその後、在日米軍軍人のチャールズ・A・バークレーさんと98年に結婚。00年には第1子の妊娠判明直後に今村昌平監督の熱烈なオファーを受けて「赤い橋の下のぬるい水」に出演し、ヒロインを熱演した。「ラブシーンも問題ないか?」という製作サイドからの確認にも「はい」と即答する女優魂。そんな清水の熱意は、同作が翌年の第54回カンヌ国際映画祭コンペ部門にノミネートされるという形で実った。
第17回の受賞者・受賞作
- ■作品賞
- 「シコふんじゃった。」周防正行監督
- ■監督賞
- 東陽一「橋のない川」
- 「14年間褒められませんでしたから、なおさらうれしい。作品賞と監督賞を取って、初めて監督として認められたようです」
- ■主演男優賞
- 本木雅弘「シコふんじゃった。」
- 「あえていえば、独特なセンスを持った監督、強烈な個性を持った共演者たちと出会えた、自分の運の強さに対する評価でしょうか」
- ■主演女優賞
- 清水美砂「おこげ」「シコふんじゃった。」「未来の想い出 ラストクリスマス」
- 「22歳の私が主演女優賞をもらえるなんて、夢にも思いませんでした。私は本当に映画が大好きだから」
- ■助演男優賞
- 村田雄浩「おこげ」「ミンボーの女」
- 「(ゲイ役で)現場ではレスリングのような状態。ただ2人とも男ですからベッドでの主導権争いが起こって。最終的に女役の僕が受け身になって、妙な敗北感がありました」
- ■助演女優賞
- 藤谷美和子「女殺油地獄」「寝盗られ宗介」
- 「これまでは、自分では頑張ったつもりでもぜ~んぜん認めてもらえなかったんですよぉ」
- ■新人賞
- 墨田ユキ「■(ぼく)東綺譚」(■=さんずいに墨)
- 「女優という職業にこだわりながら、いろんな役に挑戦したい。めちゃめちゃ明るい役なんていいですね」
- 大森嘉之「青春デンデケデケデケ」「■(ぼく)東綺譚」(■=さんずいに墨)
- 「(ツルツル頭の住職の息子役から)髪の毛は伸びたし、賞ももらえたし、言うことなし」
- ■海外作品賞
- 「プリティ・リーグ」ペニー・マーシャル監督
