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報知映画賞ヒストリー

1976~1990 | 1991~2005 | 2006~2011

北野武「報知に殴り込まなくてよかった」

第16回(1991年12月27日)@赤坂東急ホテル(東京・赤坂)

 「あの夏、いちばん静かな海。」の北野武と「無能の人」の竹中直人が、ともに監督として、監督賞、新人賞にそれぞれ名を連ね、例年以上にタレントぞろいの表彰式となった。

 たけしは「いやあ、あのとき報知に殴り込まなくてよかった」と第一声。「『戦場のメリークリスマス』(大島渚監督)に出たとき、カンヌ映画祭でグランプリを取りそうだと報知が取材に来た。翌日『楢山節考』がグランプリと聞いて、ガッツポーズした写真がムダになったとガッカリしたら、デカデカとその写真を使って『たけしぬか喜び』だって大見出し(笑い)。今度は(受賞が)本当でよかったぜ」と、毒満載で受賞を喜んでみせた。

 たけしのオンステージは、これで終わらない。一部週刊誌で「エロティックな関係」で共演した宮沢りえとの深夜密会を報じられていた。表彰式には芸能リポーターも大挙押しかけ、矢継ぎ早に質問を浴びせかけた。しかし、たけしは「そう、愛し合ってるんだよ。ただ、あのお母さんがついてて『りえより私とどう?』なんて言うからな(笑い)。来年は後藤久美子とスキャンダル起こすからご期待下さい」と“舌好調”ぶりを発揮して、爆笑を誘った。「エロティック-」に主演し、たけしとりえの2人を引っ張り込んだ張本人の内田裕也も祝福に駆け付けた。

 主演女優賞の工藤夕貴は、同部門最年少の20歳で獲得。受賞作「戦争と青春」は、名匠・今井正監督が9年ぶりにメガホンを執った作品なら、工藤にとっても89年の米映画「ミステリー・トレイン」(ジム・ジャームッシュ監督)以来のスクリーンだった。現代の高校生・ゆかりと、戦時中の伯母の若き日の2役を自ら志願。「台本をもらった時点では2役じゃなかった。現代っ子のゆかり役だろうと思って読んでいたら、監督がやらせたいのは伯母さんの方で、じゃあいっそ2役やらせてくださいって私から頼んだんです」

 その今井監督は11月22日にクモ膜下出血のため79歳で逝去。工藤は告別式で、「輪廻転生が本当なら、どうか早く生まれ変わって。それまで私はおばあちゃんになっても女優を続けます」と弔辞を読んで号泣した。晴れ着姿で臨んだ表彰式も、今井監督の話題になると「言葉数の少ない監督でしたから『工藤クン、よかったね』って言うんじゃないかな。一緒に喜んでほしかった」としんみり。思い入れの深い受賞になった。

 また、この年からイラストレーター・和田誠さんデザインのブロンズ像のほかに賞金50万円が授与されることになった。

第16回の受賞者・受賞作

■作品賞
「息子」山田洋次監督
「1970年に『家族』という映画を撮り、その続編のつもりでを撮った。あれから20年、日本という国はこんなにも変わってしまったという、ため息をつくような思いを観客と共有したかった」
■監督賞
北野武「あの夏、いちばん静かな海。」
「三船敏郎、仲代達矢主演のお笑い映画ってのを昔からやりたかった。相手にされないのがオチだと思ってたけど、監督賞だって言えば何とかなるかもな」
■主演男優賞
永瀬正敏「息子」「アイ・ラブ・ニッポン」「喪の仕事」
「マネジャーから『主演男優賞おめでとう』と言われて、えっ、という感じで驚きました。この知らせの後、風邪の方も具合が良くなって」
■主演女優賞
工藤夕貴「戦争と青春」
「亡くなった今井正監督が、賞をくださったと思う。出来れば亡くなる前に報告したかった」
■助演男優賞
神戸浩「無能の人」
「役者としてデビュー10年目ですが、映画はまだ2本。それなのに賞をもらうのはただ役に恵まれただけ」
■助演女優賞
風吹ジュン「無能の人」
「私にも代表作ができたという感じ。今まで肉体派の印象が強かったでしょ。だから今回の受賞はすごくいいチャンスだと思う」
■新人賞
石田ひかり「ふたり」「あいつ」「咬みつきたい」
「1か月、ロケ先の尾道に出かけ、撮影が生活そのものでした。主人公になりきって芝居が自然になじんできたんです。いい体験でした」
竹中直人監督「無能の人」
「地味に公開されて、地味に終わる作品と思ってた。最初は『変態家族』って題でひたすら暗い家族を撮ろうとした」
■海外作品賞
「羊たちの沈黙」ジョナサン・デミ監督

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第16回 表彰式の紙面

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1991年度 国内主要映画賞

第34回ブルーリボン賞
  • 作品賞:あの夏、いちばん静かな海。
  • 監督賞:北野武
  • 主演男優賞:竹中直人
  • 主演女優賞:工藤夕貴
  • 助演男優賞:永瀬正敏
  • 助演女優賞:風吹ジュン
  • 新人賞:石田ひかり
  • 外国映画賞:羊たちの沈黙
第65回キネマ旬報ベスト・テン
  • 日本映画作品賞:息子
  • 監督賞:山田洋次
  • 主演男優賞:三國連太郎
  • 主演女優賞:北林谷栄
  • 助演男優賞:永瀬正敏
  • 助演女優賞:和久井映見
  • 新人男優賞:唐沢寿明
  • 新人女優賞:石田ひかり
  • 外国映画作品賞:ダンス・ウィズ・ウルブズ
第46回毎日映画コンクール
  • 日本映画大賞:息子
  • 監督賞:山田洋次
  • 男優主演賞:永瀬正敏
  • 女優主演賞:北林谷栄
  • 男優助演賞:三浦友和
  • 女優助演賞:風吹ジュン
  • 新人賞:石田ひかり、竹中直人監督
  • 外国映画ベストワン賞:ダンス・ウィズ・ウルブズ
第15回日本アカデミー賞
  • 最優秀作品賞:息子
  • 最優秀監督賞:岡本喜八
  • 最優秀主演男優賞:三國連太郎
  • 最優秀主演女優賞:北林谷栄
  • 最優秀助演男優賞:永瀬正敏
  • 最優秀助演女優賞:和久井映見
  • 最優秀外国作品賞:ダンス・ウィズ・ウルブズ
第4回日刊スポーツ映画大賞
  • 作品賞:息子
  • 監督賞:山田洋次
  • 主演男優賞:三國連太郎
  • 主演女優賞:村瀬幸子
  • 助演男優賞:永瀬正敏
  • 助演第女優賞:和久井映見
  • 新人賞:石田ひかり
  • 外国作品賞:ダンス・ウィズ・ウルブズ
  • 石原裕次郎賞:大誘拐
  • 石原裕次郎新人賞:該当なし

この年の主な出来事

平成3(1991)年
  • 湾岸戦争始まる
  • 信楽高原鉄道列車正面衝突事故
  • 長崎県雲仙・普賢岳が噴火
  • 海上自衛隊の掃海艇6隻がペルシャ湾に派遣
  • ソビエト連邦が崩壊
  • 自動車耐久レース、ル・マン24時間でマツダが日本車として初の優勝
  • 横綱千代の富士が引退。通算1045勝