報知映画賞ヒストリー
選考経過

- 【選考委員】
- 評論家・大久保賢一、評論家・小野耕世、評論家・品田雄吉、評論家・白井佳夫、評論家・新宮正春、作家・田中小実昌、評論家・田山力哉、評論家・林冬子、評論家・深沢哲也、評論家・渡辺祥子(50音順)の各氏、本紙映画担当記者3人の計13人。
- ■作品賞
- 本命なき戦いだった。読者票1位の「天と地と」は選考委員には不人気。「少年時代」「つぐみ」「櫻の園」の3作品が論議の中心になったが「(『少年-』は)風格はあるが、篠田作品としてはどうか」(白井)、「(『櫻‐』は)会話がみずみずしく、人の出し入れもうまいが、作品世界が小さい」(深沢)、「(『つぐみ』は)ヒロインつぐみが、ただのわがままにみえちゃった」(田中)など、積極的支持よりマイナス評価が目立つ、寂しいかぎりの論議展開。「櫻-」が3作品による決選投票で約半数の選考委員票を獲得したが「本来ならベストテンの7、8位あたりにくるべき小品。ほかにないのだから仕方がない」という“消去法”の受賞だった。
- ■監督賞
- 作品賞で「櫻-」に敗れた「つぐみ」の市川準が「CM界からやってきて試行錯誤しながら、この作品でひとつ突き抜けた」(白井)と好感を集めた。「少年時代」篠田正浩、「安心して老いるために」羽田澄子、「死の棘」小栗康平、「白い手」神山征二郎、「浪人街」黒木和雄、「てなもんやコネクション」山本政志、「バタアシ金魚」松岡錠司と、対抗馬が分散したのにも助けられた。
- ■主演男優賞
- こちらも本命なく、票が割れた。選考委員から推す声が出たのは「浪人街」「われに撃つ用意あり」の原田芳雄、同じく「浪人街」の石橋蓮司、「鉄拳」の菅原文太、「さらば愛しのやくざ」の柳葉敏郎、「マリアの胃袋」の柄本明、「死の棘」の岸部一徳ら。投票では「久々に顔も体もすっきりした」(大久保)文太の復活ぶりが人気を集め、読者票26位から急浮上。小差で石橋を上回った。
- ■主演女優賞
- 「化粧を落として、あんなにきれいな女優は初めて」(渡辺)という「死の棘」の松坂慶子と「牧瀬里穂と対の主演で、作品を支える大きなファクターになった」(大久保)「つぐみ」の中嶋朋子の一騎打ち。松坂が読者票2位の余勢をかって圧勝した。
- ■助演男優賞
- 主演賞を逃した石橋が「われに撃つ用意あり」の演技に加え、助演候補で再浮上。「一度も賞をもらっていない人。この辺で認めてあげるべき」(田山)など“応援”相次ぎ、選考委員の過半数を超える票を集めた。「あげまん」の宝田明、「さらば愛しの-」の柳葉が続いた。
- ■助演女優賞
- こちらも主演賞を逃した中嶋が再び候補にあがり、「浪人街」の樋口可南子と一騎打ちとなった。「情感のあるいい芝居をするのに、いつもハダカばかり注目される気の毒な女優」(渡辺)と“同情票”? を集めた樋口がふり切った。
- ■新人賞
- 「スケールの大きい演出造形力」(白井)の松岡が読者票ダントツの牧瀬を猛追。2人受賞とすることで落ち着いた。俳優では「最近珍しい初々しさ」(深沢)の「櫻の園」の宮沢美保が選考委員の人気を集めたが、牧瀬の読者票をくつがえすまでにはいたらなかった。
- ■海外作品賞
- 「恋のゆくえ」「冬冬(トントン)の夏休み」「マグノリアの花たち」「悲情城市」「グッドフェローズ」と、選考委員の好みが出たが、投票では「スポーツ新聞の選ぶ賞にふさわしい」(本紙記者)「フィールド・オブ・ドリームス」が高い読者票に支えられて圧勝した。
