
マルサVSゆきゆきて 作品賞めぐり大激論
第12回(1987年12月28日)@東條会館(東京・半蔵門)
大激論の末、伊丹十三監督の「マルサの女」が作品賞に輝いた(詳細は選考経過に)。
史上最高の視聴率を叩き出したこの年のNHK大河「独眼竜政宗」に出演した陣内孝則、津川雅彦、桜田淳子、髙嶋政宏の4人が受賞で再び顔を合わせた。政宗役で一躍、全国区となった渡辺謙もステージに。「今日はボク、脇ですから」と表彰式の主役となった共演者を祝福した。
華やかな表彰式でただ1人、会場の涙を誘ったのが主演女優賞を受賞した大竹しのぶだった。この年7月に最愛の夫であるTBSの看板プロデューサーで演出家の服部晴治さんががん性腹膜炎のため亡くなった。女優の中村晃子との三角関係をへて82年に挙式したが、その1年4か月後に服部さんのがんが判明。女優業のかたわらで4年間の闘病生活を支え続けた。
受賞作「永遠の1/2」(根岸吉太郎監督)も看病しながらの撮影。それだけに「今まで何度か賞をいただいたけど、心からうれしいと思ったことはありませんでした。本当にうれしい」。気丈に振る舞う姿がさらに観客の心を打った。根岸監督は「僕は(看病をしていることを)知らなかった。しのぶちゃんは映画ともう一つの演技をしていたんだね」と名演の影に隠れた大竹の苦労に涙していた。
第12回の受賞者・受賞作
- ■作品賞
- 「マルサの女」伊丹十三監督
- 「監督業? やっと少し映画が分かってきた程度です」
- ■監督賞
- 原一男「ゆきゆきて、神軍」
- 「うれしさ半分。複雑な気持ち。僕は映画に毒を込めたつもりですが、賞に入るということは毒がなかったことになるんじゃないかと」
- ■主演男優賞
- 陣内孝則「ちょうちん」
- 「極めて純度の高い、権威のある賞なんでしょ? 最高の自信になりますよ」
- ■主演女優賞
- 大竹しのぶ「永遠の1/2」
- 「これまでの人生で最も長い1年でした。特に(夫が亡くなった)7月以降は…。今まで賞を受けてもヒシヒシとうれしさを実感したことはありませんでした。今回のは意味が付いちゃったから…正直言ってうれしい」
- ■助演男優賞
- 津川雅彦「マルサの女」
- 「100%、伊丹さんの言うとおりやりました。だから賞が取れたんでしょう」
- ■助演女優賞
- 桜田淳子「イタズ-熊-」
- 「ファッショナブルな現代劇では決して得られない貴重な体験をさせてもらいました」
- ■新人賞
- 髙嶋政宏「トットチャンネル」「BU・SU」
- 「ほかの賞と違って一生にワンチャンスですからね。でも、まだウソなんじゃないかと。一家で映画を作ったら? 将来の夢です」
- ■海外作品賞
- 「グッドモーニング・バビロン!」パオロ・タヴィアーニ監督、ヴィットリオ・タヴィアーニ監督
