
ジュリーの主演男優賞に女性ファンが熱狂
第4回(1979年12月28日)@東條会館(東京・半蔵門)
映画界に殴り込んで“主演賞を盗んだ男”歌手・沢田研二の人気に、異様な熱気が会場を包み込んだ。
「太陽を盗んだ男」は、プルトニウムを盗み出し原爆を完成させた中学教師が、日本政府を脅し、荒唐無稽な要求を次々に実現していくアクション映画。「役も八方破れで面白かった。すっかり乗っちゃって、高所恐怖症のくせにビルの屋上で格闘したり、妊婦にまでふんしたり、目いっぱい無茶やった。後で映画見て、オレこんなことまでやったのかなと初めて怖くなったり、笑い転げたりしました」
受賞インタビューの口調はおどけていたが、決して片手間で臨んだ撮影でないことは、カーチェイスシーンに備えて免許を取ったり、連日ジョギングで体を鍛えたことでも明らかだった。「俳優・沢田研二として評価してくださったことが、何よりうれしいですね」
その後も沢田は「魔界転生」(81年)、「男はつらいよ・花も嵐も寅次郎」などの作品に出演。「寅さん」で共演し劇中で結ばれたマドンナ役の田中裕子とは、実生活でも89年に再婚した。06年には「幸福のスイッチ」で上野樹里演じる娘の頑固親父役を好演するなど、役者としても強い存在感を放っている。
前年のブルーリボン賞は一般作「雲霧仁左衛門」で助演女優賞を取った宮下順子。この年の報知映画賞では“ホームグラウンド”のにっかつロマンポルノでの演技が評価された。「赫(あか)い髪の女」は鬼才・神代辰巳監督が、2年ぶりににっかつでメガホンを執った作品。髪を赤く染めた宮下は、相手役の石橋蓮司とネチっこい濡れ場を演じた。花束ゲストで駆け付けたのは、にっかつロマンポルノのライバルで大の親友の宮井えりな。そして参議院議員の山東昭子、酒豪の宮下にふさわしい飲み友達の俳優・長谷川明男も駆け付け、交友の広さをうかがわせた。
第4回の受賞者・受賞作
- ■作品賞
- 「太陽を盗んだ男」長谷川和彦監督
- 山本又一朗プロデューサー「本当にスタッフの熱気とキャストの努力でもらえたと思ってます。これからも面白い映画を作っていきたい」
- ■主演男優賞
- 沢田研二「太陽を盗んだ男」
- 「みなさんも映画をご覧になって、あれほどやるとは思わなかったでしょうね。僕自身、自分でもあれほどやるとは思わなかった。派手好きで、目立ちたがり屋ですから、もしかしたら賞も、と一瞬…」
- ■主演女優賞
- 宮下順子「赫い髪の女」「濡れた週末」
- 「ブルーリボン賞をもらったばかりですが、今回はにっかつの作品が対象になったのでとてもうれしく思います」
- ■助演男優賞
- 三國連太郎「復讐するは我にあり」
- 「今村昌平監督とは久々の仕事ですが、息子(緒形拳)の嫁(倍賞美津子)と入浴する場面など、一秒たりとも気を抜けない厳しい演出で、円熟の境地を思わせましたね」
- ■助演女優賞
- 小川眞由美「復讐するは我にあり」「配達されない三通の手紙」
- 「まあ、これ(賞)ばっかりは運というか、星の巡り合わせですから。今の心境は、映画を見てくださったお客さんに本当にありがとうと言いたい」
- ■新人賞
- 小林薫「十八歳、海へ」
- 「まだピンとこない。でもやっぱりうれしいですね。出来上がった作品を見たらムダな部分が多くて照れました」
- ■海外作品賞
- 「ディア・ハンター」マイケル・チミノ監督
- ■特別賞
- ATG配給「Keiko」(ユニークで新鮮な作品を作った人たちをたたえて)
