HOME > ブルーリボン賞 > ブルーリボン賞ヒストリー

ブルーリボン賞ヒストリー

1950~1964 | 1965~1987 | 1988~2002 | 2003~2011

千秋実と十朱幸代が30年ぶりのアベック受賞

第28回(1986年2月13日)@イイノホール(東京・内幸町)

 第6回「夫婦善哉」の森繁久彌&淡島千景以来、30年ぶりのアベック主演賞(紙面上の史上初は誤り)が誕生した。

 「花いちもんめ」の千秋実と十朱幸代。アルツハイマー病の老人を演じた千秋は、実生活でもこ75年に脳卒中で倒れ、一時は再起不能とさえ言われた。「脚本にホレこんで役作りに苦労することはなかったから」と振り返った千秋だが、治ったとはいえ、後遺症でセリフを覚えるのにも人の倍ほど時間がかかったという。ボロボロになるまで台本を読み込む役者根性で撮影をやり通した。

 そんな千秋を撮影中、ずっと見ていた十朱は「夕方になると疲れてぐったりしながら、カメラの前に立つとシャンとなる。そんな気力にあおられました。千秋さんのおかげで撮影中、地熱のようなものが心の中で燃えました」とたたえた。

 「乱」で意外にも初めて監督賞を受賞(作品賞は4度目)した黒澤明監督が、千秋を映画の道に誘った。49年「野良犬」で映画デビューすると、「七人の侍」や「隠し砦の三悪人」などで印象的な脇役を務め、黒澤組の常連になる。99年11月、前年に亡くなった黒澤監督の後を追うように急性心肺不全のため82歳で死去。「七人の侍」を演じた7人の侍の中では一番最初に死ぬ平八役を演じたが、実生活では一番の長寿だった。

 また前年9月に急性骨髄性白血病のため急逝した故・夏目雅子さんに特別賞が贈られた。会場には夏目さんの母・小達スエさんも姿を見せ、「今は毎晩、雅子と夢で会うのが楽しみです」と話していた。

第28回の受賞者・受賞作

■作品賞
「乱」黒澤明監督
「『乱』は」製作費捻出(ねんしゅつ)の過程で、後に続く若い人たちに道をつける意味からも、企業にかけ合い、援助をあおぐなど一生懸命やった」
■監督賞
黒澤明「乱」
■主演男優賞
千秋実「花いちもんめ」
■主演女優賞
十朱幸代「花いちもんめ」「櫂」
「前は『年功序列だ』とか『まぐれ』とかいろいろ言われた。これで悪友を見返せます。地味な映画が認められてうれしい」
■助演男優賞
ビートたけし「夜叉」
「商品がモンブランの万年筆とはさすがビンボー記者さんがやる賞。権威ある賞は金をかけないものと再認識した」
■助演女優賞
藤真利子「薄化粧」「危険な女たち」
「(亡くなった)父(作家の藤原審爾)には報告できず残念ですが、賞の重みを心に刻み、いい女優になって恩返しをしたいと思います」
■新人賞
斉藤由貴「雪の断章-情熱-」
■外国映画賞
「刑事ジョン・ブック/目撃者」ピーター・ウィアー監督
■スタッフ賞
森田芳光監督と「それから」のスタッフに対して
■特別賞
花の盛りに惜しまれて急逝された夏目雅子さんに対して
「乱」の合作実現に貢献したヘラルド・エースのコーディネートに対して
邦画ベスト10
薄化粧(五社英雄)
恋文(神代辰巳)
それから(森田芳光)
台風クラブ(相米慎二)
花いちもんめ。(伊藤俊也)
火まつり(柳町光男)
ビルマの竪琴(市川崑)
夜叉(降旗康男)
ラブホテル(相米慎二)
乱(黒澤明)
洋画ベスト10
アマデウス(ミロス・フォアマン)
インドへの道(デヴィッド・リーン)
キリング・フィールド(ローランド・ジョフィ)
刑事ジョン・ブック/目撃者(ピーター・ウィアー)
恋におちて(ウール・グロスバード)
コットンクラブ(フランシス・フォード・コッポラ)
ターミネーター(ジェームズ・キャメロン)
バック・トゥ・ザ・フューチャー(ロバート・ゼメキス)
パリ、テキサス(ヴィム・ヴェンダース)
ベスト・キッド(ジョン・G・アヴィルドセン)

(50音順)

第28回に関する紙面

  • 紙面イメージ
  • 紙面イメージ

ページTOP

1985年度 国内主要映画賞

第10回報知映画賞
  • 作品賞:それから
  • 監督賞:森田芳光
  • 主演男優賞:北大路欣也
  • 主演女優賞:倍賞美津子
  • 助演男優賞:三浦友和
  • 助演女優賞:三田佳子
  • 新人賞:門田頼命
  • 海外作品賞:刑事ジョン・ブック/目撃者
  • 特別賞:千秋実
第59回キネマ旬報ベスト・テン
  • 日本映画作品賞:それから
  • 監督賞:森田芳光
  • 主演男優賞:北大路欣也
  • 主演女優賞:倍賞美津子
  • 助演男優賞:小林薫
  • 助演女優賞:藤田弓子
  • 外国映画作品賞:アマデウス
第40回毎日映画コンクール
  • 日本映画大賞:乱
  • 監督賞:黒澤明
  • 男優主演賞:北大路欣也
  • 女優主演賞:倍賞美津子
  • 男優助演賞:井川比佐志
  • 女優助演賞:藤真利子
  • 新人賞:斉藤由貴、チェッカーズ
  • 外国映画ベストワン賞:田舎の日曜日
第9回日本アカデミー賞
  • 最優秀作品賞:花いちもんめ
  • 最優秀監督賞:澤井信一郎
  • 最優秀主演男優賞:千秋実
  • 最優秀主演女優賞:倍賞美津子
  • 最優秀助演男優賞:小林薫
  • 最優秀主演女優賞:三田佳子
  • 最優秀外国作品賞:アマデウス

この年の主な出来事

昭和60(1985)年
  • 民営の日本電信電話会社、日本たばこ産業が正式発足
  • 日航ジャンボ機墜落
  • 豊田商事事件
  • エイズ日本に上陸、患者第一号確認
  • つくば万国博覧会開催
  • 阪神タイガース優勝し、全国にフィーバー現象